クラシック / 中世とルネサンス · 1985
Tallis: Spem in alium
タリス・スコラーズ
탈리스: 스펨 인 알리움 · 탈리스 스콜라스
この一枚を聴く理由
一つの声が終わる前に、次の声が入ってきます。大きな合唱を一つの塊ではなく、動きが出会う場所として聴いてみましょう。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Spem in alium」の冒頭では、最も大きく響く瞬間を待つより、新しい声が加わるところへ注意を向けてみてください。先に聞こえていた線が残るうちに別の線が現れ、音の場所が広がります。合唱を包み込む響きとして聴く方法と、複数の動きを行き来しながら聴く方法。その二つを試せる録音です。全員の声を一度に覚える必要はありません。
トマス・タリスの作品を、ピーター・フィリップス指揮のタリス・スコラーズが歌う1985年のアルバムです。GimellはCDGIM006をこの演奏の初発売盤として案内し、同じ作品群を収めた後年の二枚組選集とは分けています。作品が生まれた時代と、この演奏の発売年は別です。ここで結ぶ配信版は七作品を26の区間に分けているため、一覧の行数を別々の作品数と思わないようにしてください。
大きな響きの中に道を探す
表題作の40声部とは、全員が同じ旋律を重ねることではありません。声部を、それぞれ動く音楽の線と考えると分かりやすくなります。制作陣は2010年の対談で、八つの合唱群が別の場所で歌う感覚をステレオで伝えようとしたと回想しています。実際の会場に立つ体験とは異なりますが、左右へ注意を移す聴き方の手掛かりになります。位置を正解として当てるより、耳の重心が動く感覚を楽しめます。
表題作の後で耳を整える
続く「Sancte Deus」と二つの「Salvator mundi」では、次ももっと大きく響くだろうと待つのをやめ、声同士の間を聴き直してみましょう。後半の長い「Gaude gloriosa」は、また別の呼吸で時間を広げます。題名をすべて暗記しなくても、新しい線が入りやすく聞こえた場所、全体の響きへ心が向いた場所を一つずつ覚えれば十分です。小さな発見を次に戻る目印にできます。二つのSalvator mundiは同じ題名でも別の曲なので、続けて聴いてから冒頭へ戻ると、似た言葉に異なる音楽が付く面白さにも気づけます。曲名だけで重複と判断しない聴き方です。
当時の評価と今の再生単位
レーベルの周年資料に再録された1985年の評は、合唱群の空間的な区別を高く評価しています。当時の評者の判断であり、制作陣の後年の回想とも分けて読めます。自分の耳が同じ結論に達する義務はありません。配信では表題作の全体が一番から四番まで続きます。短い試聴だけで全体の形を判断せず、区間名が変わっても同じ作品の流れが続くことを意識してください。番号を追うだけでも、知らない曲が途中で切れたと思う戸惑いを減らせます。
曲からたどるアルバム
一番から四番を続けたあと、十二番のSalvator mundi Iで声同士の距離を比べてみてください。
Spem in alium: Spem in alium
一覧の最初は作品全体ではなく、冒頭の区間です。四番まで続けて初めて全体の流れを追えます。まず一つの声を最後までつかもうとせず、新しい線が入るたびに注意を渡してみましょう。先の声は残っているでしょうか、それとも場所を譲ったように聞こえるでしょうか。制作陣が語るステレオの配置は、その動きを探す手掛かりであり、全員の居場所を当てる試験ではありません。音が集まったら、その重さをしばらく感じるだけでも構いません。薄くなるところで、また一本の線へ戻ってください。二度目には別の道をたどれるので、大きな曲を一度で理解しようと構えずに楽しめます。
参考資料 · Peter Phillips and Steve Smith interview, MusicWeb 2010Salvator mundi, salva nos I
表題作のあとに、この短い曲へ移ってみましょう。声量より、一つの句が終わる前に次の声がどこで始まるかを追います。複雑な構造をすべて知る必要はありません。配信では十二番で、その次にはIIと記された別の設定が続きます。同じ演奏の繰り返しと思わず、最初の線の形や終わりへ届く感じを比べてください。ラテン語を理解できなくても、線が集まり、離れる瞬間は追えます。長い作品を無理に聴き終えるより、短い一曲へ戻るほうが役立つ日もあります。気になる声の入りを一つ覚えてから表題作に戻れば、大きな響きの中でも小さな動きを見つけやすくなるでしょう。
参考資料 · Apple Music Classical: 1985 album and indexed programme
次に聴く一枚
ビクトリアのRequiemへ進むと、同じ団体が別の長い流れをどう持続させるか比べられます。
Victoria: Officium Defunctorum ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Gimell: original CDGIM006 release · www.gimell.com
- Apple Music Classical: 1985 album and indexed programme · classical.music.apple.com
- Peter Phillips and Steve Smith interview, MusicWeb 2010 · www.musicweb-international.com
- Gimell: The Tallis Scholars at 50, archived contemporary reviews · www.gimell.com