エレクトロニック / アシッド・ハウスとレイヴ · 1989
Ninety
808 State
この一枚を聴く理由
長い旋律と短い反復が、同じ時間に広さと密度を作る。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Pacific 202」の長い旋律を追ったあと、その下で繰り返す小さなリズムへ耳を移してみよう。一方は遠くへ流れ、もう一方は近くで動き続けるように感じられる。《Ninety》は、踊る力と空間を眺める聴き方の両方を受け入れる。一つの中心だけに留まらなくてよい。
808 Stateが1989年にZTTから発表した八曲のアルバムで、90や808:90の表記もある。公式アーカイブはマンチェスターのSpiritで録音し、BuryのSquare Oneでミックスしたと記す。現在の配信には2008年の著作権表示があり、一部の曲の時間は原盤一覧と異なるため、同じ編集とは断定しない。曲順を組み替えたUtd. State90や、追加盤のあるデラックス版とも区別する。
一つの動きを選ぶ
「Magical Dream」から「Ancodia」「Cobra Bora」へ進むとき、前に出る旋律だけを待つ必要はない。短い反復を一つ選び、長い線が入ってからも追い続けてみたい。音楽が二つの速さで動くように感じても、実際のテンポが変わったという意味ではない。同じ拍の上で、違う長さの動きに注意を向ける方法だ。すべての音源を当てるより、一つの音が消えて戻る場所を覚える方が入りやすい。繰り返しが続くからこそ、どこで耳の中心を変えたかも分かる。
馴染みの曲を並びの中へ
四曲目の「Pacific 202」は、単独で知っている場合も前後の質感の中へ戻したい。長く伸びる線が注意を引く間も、短い動きは周りの空間を作っている。続く「Donkey Doctor」と数字の題名の曲では、密度と広さの釣り合いを別の形で聴ける。広い音を穏やかさ、細かな動きを攻撃性とすぐ決める必要はない。同じ区間でも、何を前景に置くかで余裕や圧力の感じ方が変わる。耳が移ること自体を、曲の変化とともに楽しめる。
短い終わりを残す
「Sunrise」のあと、約一分の「The Fat Shadow」で終わる並びも大切にしたい。長い反復を聴いてきた耳は、短い曲にも次の展開を待つかもしれない。追加曲を続ける前にここで止めると、前の動きが記憶の中でどう残るか確かめられる。初めてなら一曲では低い音、次では高い音の出入りを選んで聴けばよい。機材やジャンルの系譜を先に暗記する必要はない。一定の枠の中で中心を変えることが、この一枚との具体的な付き合い方になる。時間の長短も、音色と同じように並びの表情を作っている。終わりまで順番に聴こう。
曲からたどるアルバム
Pacific 202の長い旋律と短い拍を交互に追い、最後の二曲の長さを比べよう。
Pacific 202
同じ区間を二度、違う中心で聴いてみたい。最初は長い旋律、次には短いリズムの形を選び、途中で別の音に注意を奪われても戻ってみる。開けた感じと細かな秩序が同時にあることに気づける。公式一覧と配信で四曲目のPacific202に当たり、似た名前の別版を自動的に同じ録音とは扱わない。現在の長さは原盤の表記と違い、編集が同じかは未確認である。旋律が退く場所で、小さな音が空間をどう保つかを聴こう。そのあと再び長い線へ戻ると、背景にあった動きが自由な広がりを支えていたようにも感じられる。何を中心にするかは一度で決めなくてよい。
参考資料 · 808State official archive: original90 programme and creditsThe Fat Shadow (Pointy Head Mix)
長い曲をいくつも通ったあと、約一分で終わる音楽を迎える。その大きさの変化から聴き始めたい。公式の原盤一覧と現在の八曲版で最後にあり、Pointy Head Mixの表記も共通する。追加曲を流す前に止め、短い終わりが何を残すか確かめよう。耳はまだ長い展開を待っているだろうか。先ほどまでの反復が、音の止まったあとも記憶の中で続くことがある。「Sunrise」から続ける場合と単独で聴く場合を比べると、同じ音でも役割は変わる。順番の中では大きな動きを閉じる位置になる。個々の音色を数えるだけでなく、長さと置かれた場所にも注意したい。
参考資料 · 808State official archive: original90 programme and credits
次に聴く一枚
Basic ChannelのBCDと、反復の中で前景と背景が動く別の方法を比べたい。
BCD ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。