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Five Leaves Left

フォーク・カントリー / シンガーソングライター・フォーク · 1969

Five Leaves Left

Nick Drake

この一枚を聴く理由

細かく動くギターと長く伸びる弦の間で、控えめな声の居場所が変わっていく。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

ニック・ドレイクの声だけを追っていると静かな音楽に思えるが、その下ではギターの細かな音が絶えず動いている。そこへ長い弦の響きが加わると、同じ短い言葉の周囲に広い空間が生まれる。『Five Leaves Left』では、声を強く張り上げなくても曲の表情が変わる。その変化をたどることが、このアルバムへの入り口になる。 音の数より、それぞれが残る時間に注目したい。

1969年のデビュー作で、制作はジョー・ボイド、録音はジョン・ウッド。ボイドは2013年のインタビューで、ドレイクがケンブリッジの友人ロバート・カービーを編曲者として推薦したと振り返っている。ただし、River Manの弦楽編曲はハリー・ロビンソンによるものだ。弦の響きをすべて一人の仕事としてまとめずに聴くと、曲ごとの設計の違いにも目が向く。

声の下で続く運動

歌い方が穏やかでも、伴奏の時間まで止まっているわけではない。ギターの低い音と高い音を行き来すると、声がその流れに重なる場所と、少し離れて進む場所が見えてくる。英語の歌詞を一度に理解しようとせず、まず一つのフレーズが終わったあとに何が残るかを聴いてみよう。歌の終わりと楽器の動きの切れ目が同じとは限らない。そのずれによって、小さな声にも奥行きが生まれる。静けさという言葉だけでは捉えきれない音の働きがある。

曲順が変える空間

Time Has Told Meの親しみやすい輪郭から、River Manの濃い弦の響きへ。続くThree Hoursでは反復が長い時間を作り、Way to Blueでは声と弦の関係がさらに手前へ出てくる。後半のMan in a Shedや最後のSaturday Sunでは、ピアノの手触りも大切な聴きどころになる。最初から最後まで同じ淡い色の音楽だと思うと、こうした切り替わりを聞き逃してしまう。曲が変わるたび、どの楽器がその場の広さを決めているかを確かめたい。

後年の物語から少し離れて

この作品を作者の生涯を予告するものとして聴く必要はない。名声について考えるFruit Treeも、未来を言い当てた文章に限定すれば、いま流れている歌の動きが見えにくくなる。十曲を最後まで聴いてから冒頭へ戻ると、温かさや重さの違いが以前よりはっきりするはずだ。声の抑制と感情の少なさは同じではない。周囲の演奏が変わるたびに言葉の距離も変わる、その繊細な幅を確かめるために繰り返し聴きたい。悲しみという一つの説明に落ち着く前に、音の明るさが揺れる瞬間を拾ってみよう。

曲からたどるアルバム

ギターの短い音、弦の長い音を交互に追い、ピアノが加わったときの空間の変化にも耳を向けよう。

  1. River Man

    繰り返すギターが曲をつなぎ、その上の弦が落ち着ききらない広がりを作る。編曲はロバート・カービーではなくハリー・ロビンソンによるもの。ボイドは後年、この曲の立体的な音を同じ部屋で演奏した録音方法と結びつけて説明した。その回想を手がかりにしつつ、まず声と楽器の受け渡しを聴こう。一度目は歌のフレーズが終わる位置を、次はその先まで続く弦を追ってみる。伴奏は言葉をなぞるだけでなく、言い終えたあとにも考えが続くような感覚を生む。声の大きさ以上の重みが残る理由を、そうした時間の重なりから探すことができる。 ゆっくり比べたい。

    参考資料 · Joe Boyd interviewed by MusicRadar, 2013: arrangements and recording
  2. Way to Blue

    Three Hoursの長い流れを受けて、前面に出る弦がアルバムの空間を変える。声は大きくならないため、フレーズの周りの広さがかえってよく分かる。まず歌が止まったあとの伴奏を聴いてみよう。そこは空白ではなく、次の言葉へ向けて時間が続く場所になっている。次には弦が膨らむとき、声がどの程度の大きさにとどまるかを確かめたい。二つが同じ強さで盛り上がらなくても、曲には十分な緊張が生まれる。専門的な用語を知らなくても、この差を追うだけで編曲の働きに近づける。美しい背景として聞き流すと気づきにくい対話が、ここにはある。

    参考資料 · Apple Music: original ten-song programme, remastered digital edition

次に聴く一枚

続いて『Pink Moon』を聴くと、より小さな編成で声とギターの関係がどう変わるか比較できる。

Pink Moon ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。