GROOVE ARCHIVE
← ヒップホップ
Southernplayalisticadillacmuzik

ヒップホップ / 南部ヒップホップ · 1994

Southernplayalisticadillacmuzik

アウトキャスト

Southernplayalisticadillacmuzik · OutKast

この一枚を聴く理由

演奏、ビート、歌うフック、二人の語り口が、アトランタの日常を大きさの違う場面へ変える。

音楽と一緒に読む

収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

《Southernplayalisticadillacmuzik》では、ゆったりした伴奏と忙しく動くラップが同時に存在する。アンドレとビッグ・ボーイは同じグルーヴを共有しても、句の伸ばし方や切り方まで同じではない。歌う性格を持つフックも、長いヴァースの間に別の質感を置く。南部という名前で一つの速度や気分を示すより、二人の若者と周囲の人々が暮らす場所を、さまざまな声で満たしたアルバムだ。

1994年にLaFaceから発表されたデビュー作で、短いインタールードと最後のリプライズを含めて十七曲。制作はリコ・ウェイド、レイ・マレー、スリーピー・ブラウンによるOrganized Noizeが担当した。実際に弾く楽器の比重は大きいが、サンプリングを一切使わないバンド録音ではない。後年のNPRインタビューでは、サンプル使用料の負担が自分たちで演奏を発展させる契機になったと回想している。制作上の条件への対応も、この音の成り立ちに関わっていた。

都市の名を音へつなぐ

短い「Welcome to Atlanta」から長い表題曲へ進む配置は、街を紹介してその音楽を広げるようにも聞こえる。ただし南部初のヒップホップと呼ぶと、それ以前の活動を消してしまう。マレーはニューヨークからオークランドまでの音楽を参照したと語っている。土地の個性は外部を拒む純粋さではなく、複数の材料を自分たちの生活と話し方に合わせて選ぶ過程として考えられる。

二人だけで完結しない

「Call of da Wild」と「Git Up, Git Out」にはGoodie Mobが参加する。後者は約七分二十七秒あり、複数の声に大きな時間を渡す曲だ。前後の短いインタールードが、その広がりをさらに目立たせる。十七の項目は全部が同じ種類の歌ではなく、短い登場と長い対話が異なる仕事を持っている。二人の名前を掲げた作品の中に、周囲の仲間が入る場所が用意されている点も重要だ。

ヒット曲が終点になる

「Player’s Ball」は七曲目に現れ、最後には別のリプライズとして戻る。「Funky Ride」や長い共演曲、その後の場面を通過した後なので、知っている音が違う役割を帯びる。先行したクリスマス・シングルとアルバム版も区別したい。ヒットを作ることと、その材料で一枚の最後を結ぶことは同じ作業ではない。最初の登場だけを取り出すより、終点まで辿ると親しい曲が構成の中に置かれた理由を考えられる。終曲も省けない一部だ。

曲からたどるアルバム

「Player’s Ball」の本編と最後のリプライズを結び、「Git Up, Git Out」が複数の声に時間を広げる方法と比較しよう。

  1. Player's Ball

    歌うフックが、ゆったりしたグルーヴの中で二人のラップを結ぶ。もともとはクリスマス・シングルとして発表され、L.A.リードはRecording Academyの取材でその企画を自分が提案したと回想している。ここで選ぶのは先行盤の代用ではなく、アルバム七曲目の演奏だ。約四分二十一秒の本編は、最後に置かれた約二分二十秒のリプライズとも役割が違う。フックが戻るたびに声を一つの曲へまとめる働きを覚え、その音が終盤で再登場するときの印象と比べたい。親しいヒット曲が一つの場面となり、さらに長い作品を閉じる材料にもなる。その二段階で聴くと位置の意味が残る。

    参考資料 · Recording Academy — interviews with Ray Murray, L.A. Reid and André Benjamin
  2. Git Up, Git Out

    Goodie Mobを迎えた約七分二十七秒の共演曲。二人のデビュー作が仲間の声にも時間を渡し、制作を支える集団の広さを具体的に示す。複数の人が順に話すだけでなく、戻ってくるフックと反復する伴奏が、それぞれの発言を同じ曲の中につなぎ留める。前の「Flim Flam」と後の「True Dat」は短いため、この曲の大きさがさらに際立つ。最も重い内容の曲と順位を付けるより、話し手が変わる間も推進力がどう続くかを追いたい。長い曲ほど重要ということではないが、複数の立場を急いで切り上げずに並べる選択は明瞭だ。周囲の断片との対比も、アルバムの時間を組み立てている。

    参考資料 · Sony Music Canada — full seventeen-track programme

次に聴く一枚

二年後の《ATLiens》では制作と音楽の空間が変わる。後の変化と比較しつつ、このデビュー作の集団的な響きも独立した完成形として覚えておきたい。

ATLiens ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。