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ソング・フォー・マイ・ファーザー

ジャズ / ハードバップとブルーノート · 1965

ソング・フォー・マイ・ファーザー

ホレス・シルヴァー

Song for My Father · Horace Silver

この一枚を聴く理由

親しみやすい主題の先に、新旧のクインテットと最後のピアノ・トリオによる、異なる曲の組み立て方が見えてくる。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

冒頭のベースを知っていても、このアルバム全体を知っているとは限らない。『ソング・フォー・マイ・ファーザー』の六曲は、一つの気持ちよいリズムを繰り返すだけの集まりではない。トランペットとテナー・サックスが主題を担う曲の間に別の時期のバンドが登場し、最後には管楽器のいないトリオが残る。有名な一曲を入口にして、その先で編成や曲調がどう変わるかを確かめたい。曲順を保って聴くと、長い独奏だけでなく、曲から次の曲へ渡る際の違いもアルバムの表情を作ると気づく。

1965年発表の原盤には、1963年と1964年の録音が収められている。カーメル・ジョーンズ、ジョー・ヘンダーソン、テディ・スミス、ロジャー・ハンフリーズを迎えた新しいクインテットが四曲を担当する。「Calcutta Cutie」はブルー・ミッチェル、ジュニア・クック、ジーン・テイラー、ロイ・ブルックスとの旧編成。最後の「Lonely Woman」はシルヴァー、テイラー、ブルックスによる三人の演奏だ。全曲を同じ日の同じメンバーの記録として扱わないことが、音の違いを聴く助けになる。

題名とリズムを分けて考える

シルヴァーはインタビューで、ブラジルから戻ってボサノヴァのリズムを使った曲を書きたくなったと語っている。一方、生まれた旋律には父を通じて親しんだカーボヴェルデの音楽を感じたという。この二つの記憶を一つの地域名で片づける必要はない。ベースの反復と覚えやすい主題が結びつく仕組みを聴けば、個人的な献呈が聴き手に開かれた曲となっていることが分かる。

バンドを競わせず、曲の役割を聴く

「Calcutta Cutie」はゆったりした始まりからスウィングへ移り、旧編成に独自の仕事を与えている。前後の曲との違いを、新旧どちらが優れているかという順位に変えずに聴こう。続く曲を経て「The Kicker」に進むと、ヘンダーソンの作曲もこの盤を動かしていると分かる。リーダーの個性は、すべての材料を自分だけで用意することによって成立しているわけではない。

最後は三人で終える

「Lonely Woman」では管楽器が退き、ピアノが旋律を示し発展させる役割が前面に出る。これはオーネット・コールマンの同名曲ではなく、シルヴァーの作品である。「The Kicker」の直後に置いて聴くと、人数の減少が単に音量の変化ではないと感じられる。終曲を静かな付録として切り離さず、六曲の到着点として受け取ろう。最初の親しみやすさとは別の集中が、アルバムの輪郭を広げてくれる。

曲からたどるアルバム

表題曲のベースを覚え、最後の「Lonely Woman」で管楽器がなくなったときの役割分担と比べてみよう。

  1. Song for My Father

    新しいクインテットによる冒頭曲で、この配信版では約七分十八秒。繰り返すベースが方向を定め、その上で主題と即興が異なる形を取る。ブラジル旅行の回想はリズムの発想を、父の音楽の記憶は旋律と献呈の背景を示すが、どちらも演奏そのものの代わりにはならない。ピアノとテナーが共通の土台にどんな違う動きを加えるかを聴こう。主題が戻るとき、最初よりも親しく感じられるだろうか。短いシングル用の編集ではなく、独奏が展開する元のアルバム演奏を選んでいる。ベースの形を覚えておくと、長い演奏の中でも同じ曲を聴き続けている感覚を保ちやすい。

    参考資料 · Fresh Air — Horace Silver recalls Brazil and his father’s music
  2. Lonely Woman

    シルヴァーのピアノをジーン・テイラーのベースとロイ・ブルックスのドラムが支える、約七分七秒の終曲。直前の「The Kicker」と比べると、管楽器がなくなることで旋律を示す役割がピアノに集まることが分かる。まず主題を追い、次にはその下の伴奏へ注意を移してみよう。三人の関係を違う角度で受け取ると、バラードの印象も変わってくる。これはオーネット・コールマンの同名曲ではない。表題曲の反復で締めくくる代わりにこの演奏を置くことで、シルヴァーの音楽が覚えやすいリズムだけでなく、長い旋律の展開にも支えられていることが残る。

    参考資料 · Qobuz / Capitol — 2012 remaster, six tracks and individual credits

次に聴く一枚

リー・モーガンの『The Sidewinder』へ進めば、覚えやすい反復を出発点に、異なるバンドが長い独奏の場をどう作るかを比較できる。

The Sidewinder ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。