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The Original American Decca Recordings

ジャズ / スウィングとビッグバンド · 1992

The Original American Decca Recordings

カウント・ベイシー

The Original American Decca Recordings · Count Basie

この一枚を聴く理由

短いフレーズが戻ってくる場所を目印に、前へ出る楽器と場所を譲る楽器を追ってみましょう。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

大編成のジャズを聴くとき、楽器を全部聞き分けようとすると入口が遠くなります。初期のカウント・ベイシーなら、まず繰り返される短いフレーズを一つ覚えてみてください。その周囲で別の声が動き、同じフレーズも違う表情に感じられるはずです。音が増える瞬間だけでなく、誰かが演奏を控える場所にも耳を向けると、バンドの大きさを違った角度から楽しめます。曲名を覚えるより先に、自分が気になった音の動きを目印にしてもよいのです。

ここで案内する配信版は、1992年発売の全63曲、3枚組編集盤《The Complete Decca Recordings》です。アーカイヴの表題《The Original American Decca Recordings》と併せて版を確認してください。1992年の新録音ではなく、一晩の公演を収めたライヴ盤でもありません。短い録音を後年まとめたものなので、最初から最後まで一度で聴き通す必要はありません。気になる2曲を選び、間に休みを入れて戻ってくる聴き方にも向いています。

反復を道しるべにする

リフとは、短い音楽の句を繰り返すものです。「One O’Clock Jump」では、その反復と前面のソロとの関係に注目してみましょう。同じ句でも、誰かを支えるときと合奏を押し出すときでは役割が変わって聞こえます。ピアノが常に隙間を埋めるとは限らないことも、聴くための手掛かりです。難しい理論を先に覚えなくても、音が入る場所と退く場所を追うことから編曲の働きが見えてきます。

歌の呼吸を楽器へ持ち帰る

器楽曲の次に、ジミー・ラッシングが歌う「Sent For You Yesterday」を置いてみてください。声の一文が終わるところで、周囲の演奏に注意を移します。その呼吸を覚えてから器楽曲へ戻ると、管楽器のフレーズも人が話す言葉に近く感じられるかもしれません。曲ごとに編成や担当を確認することは大切ですが、最初の一回から全員を特定しようとする必要はありません。

録音の成功と後世の選定

米国議会図書館掲載のジョン・リグルの解説は、1937年録音の「One O’Clock Jump」の成功を、楽団の評判が広まる契機として説明しています。その録音が2005年に全米録音資料登録簿へ選ばれたことは、ラトガース大学の資料でも確認できます。当時の広がりと後世の保存、そして1992年の編集盤発売は別の出来事です。評価の年表を知ったうえで、今の自分に響く一曲を探す余地も残しておきましょう。

曲からたどるアルバム

「One O’Clock Jump」と「Sent For You Yesterday」を入口に、楽器のフレーズと歌の呼吸を聴き比べてください。

  1. One O'Clock Jump

    大きな合奏を待つ前に、ピアノが道を開くところから耳を向けてください。一人の音と集団の音が交代するとき、覚えた短い反復がどんな働きをしているか追ってみます。ソロだけが本題で、ほかは背景だと思わず、二度目には後ろの演奏を主役にしてみるのもよいでしょう。次の音が入ってくる場所が自然に感じられるのはなぜか、という問いが手掛かりになります。1937年のデッカ録音と、同じ曲名の後年の再録音は別物です。有名なリーダー一人の記念碑としてより、複数の奏者が場所を分け合う演奏として接すると、短い時間の中にもいくつもの聴き方が見つかります。

    参考資料 · Library of Congress: John Wriggle on One O’Clock Jump (1937)
  2. Sent For You Yesterday

    ジミー・ラッシングの歌を挟むと、長い曲目一覧に人の呼吸という目印ができます。歌詞をすべて聞き取ろうとせず、一つの文の長さと、その後に残る間から始めてください。声が休むとき、バンドのどこへ注意が移るでしょうか。歌と伴奏を別々の役割に固定するより、同じ会話を分担していると考えると聴きやすくなります。次に器楽曲へ戻ったときも、その呼吸の感覚を覚えておきましょう。古い録音の音色に慣れる途中では、応答する楽器を全部言い当てなくても構いません。一度は声を、もう一度は周囲の音を追うだけで、同じ曲との距離が変わります。

    参考資料 · Mosaic Records: Lester Young and Count Basie sessions, discography and personnel

次に聴く一枚

続いてジャンゴ・ラインハルトの弦楽中心の選集へ。小さなグループと大きな管楽合奏の、拍と余白の作り方を比べられます。

Quintette du Hot Club de France ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。