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5th WHEEL 2 the COACH

日本の音楽 / 日本語ヒップホップ · 1995

5th WHEEL 2 the COACH

スチャダラパー

この一枚を聴く理由

話し声の気楽さを、足元の揺るがないビートが支える。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

声だけを追うと気楽な会話に聞こえる。ところが伴奏へ注意を移すと、短いリズムが繰り返されるたびに音楽の重心が確かめられる。スチャダラパーの5作目は、この二つの聴き方を行き来すると面白い。言葉がくつろいでいることと、音楽の組み立てが緩いことは同じではない。

1995年4月26日に発売された、EMI移籍第1弾のアルバム。BoseとANIの声の受け渡し、SHINCOによる音の構成を手がかりに聴き始めたい。前年の小沢健二との「今夜はブギー・バック」を入口にしてもよいが、本作では歌の大きなサビを待つより、ラップの文末から次の発話までの時間を追うほうが、曲の姿をつかみやすい。二人の声を一つの流れとして聞き流さず、交代する場所を意識してみよう。

午前0時からの枠組み

オリジナルCDの始まりは「AM0:00」、終わりは「AM8:30」。夜から朝へという枠の中に、異なる話題や調子の曲が並ぶ。ただし、全曲を実際の一晩の出来事として解釈する必要はない。時計の表示は、聴き始める入口と聴き終える出口を作るものとして受け取ればよい。まず12曲の順番を保って聴くと、最後の時刻に到着する感覚が残る。配信版の追加曲は、そのあとに置かれた別の時間として楽しめる。

声が止まっても続くもの

一つの文が終わる長さと、伴奏の周期は必ずしも一致しない。声が途切れてもドラムが続き、その残った時間が次の声を待たせる。こうした間の働きを確かめるため、同じ曲を一度は言葉中心に、もう一度は声のない部分を中心に聴いてみたい。強い発音だけでなく、言い終えて引く動作にもリズムがある。話の内容をすでに知っている曲でも、入り方に注意を向けると印象が変わるだろう。会話に似た自然さを、演奏として聴き直せる作品だ。 大きな展開だけを待たず、短い休符や受け答えを手がかりにすると、一曲の中にもいくつもの小さな区切りが見つかる。その区切りを越える声の勢いに注目したい。

記念盤から原盤を見直す

高木“JET”晋一郎は2025年のMikikiで本作を回顧し、ビートと言葉の関係を論じた。同年には記念公演やメンバー監修のアナログ盤も登場している。これは30年後にも作品が参照されている証拠であり、発売当時の批評をそのまま再現する資料ではない。原CDは12曲、ここで案内する配信版はボーナスを加えた13曲。1995年7月の2枚組LPと、2025年8月の1枚組LPも区別したい。曲名だけを見て同じ商品だと考えず、曲数と媒体を確認すると、アルバムの終わり方を自分で選べる。

曲からたどるアルバム

最初は原CDの12曲で一区切りにする。次は声が止まったあとに残る拍を追ってみよう。

  1. B-Boyブンガク

    声とドラムが噛み合う入口を意識して聴いてみよう。すべての言葉を一度に追うより、各フレーズの最初の強い発音と、その後ろに残る時間を確かめると、言葉の置き方が見えてくる。「ブンガク」という題名でも、紙に書かれた文章として読むだけでは届かない部分がある。同じ拍の上で前へ出る声、少し引いて終わる声。その違いを聞き取るため、一度目はラップ、二度目は声が休む間の伴奏を追うのがおすすめだ。聴き終えたら直前の「AM0:00」に戻り、器楽の導入からこの曲へ移るとき、アルバムに話し手が現れる感覚を比較したい。 冒頭の順番にも意味がある。

    参考資料 · Mikiki: Takagi JET Shinichiro 2025 retrospective
  2. サマージャム ’95

    夏の題名から、野外の大観衆を盛り上げる場面だけを想像しなくてもよい。ここでは声同士の近さと、片方の発話が次の発話へ開いていく時間に耳を向けたい。伴奏は会話が続く場所を用意している。まず二人が交代する箇所を数え、次に長い文と短い文が同じリズムの中でどう収まるか比べてみよう。夏を大事件ではなく、誰かと時間を過ごす感覚として聴けるはずだ。原盤の中ほどに置かれていることも大切で、前から順番に進むと、曲単独で聴くときとは異なる温度の変化が感じられる。言葉の意味を知った後にも、声の出入りへ戻る楽しみがある。

    参考資料 · Apple Music Japan: 13-track digital edition

次に聴く一枚

小沢健二のLIFEで前年の共演を聴き、歌中心の配置と本作のラップ中心の配置を比べたい。

LIFE ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。