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Sweet Dreams (Are Made of This)

ポップ / シンセポップとニューロマンティック · 1983

Sweet Dreams (Are Made of This)

ユーリズミックス

Sweet Dreams (Are Made of This) · Eurythmics

この一枚を聴く理由

電子音の反復の中で、声が親しさと不安の距離を変える。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

同じ電子音の形が戻ってきても、歌い手は同じ場所に立ち続けるとは限らない。『Sweet Dreams (Are Made of This)』では、アニー・レノックスの声が、繰り返すリズムの意味を少しずつ変えていく。機械の冷たさと人間の温かさという対比だけでは捉えにくい、近づくほど落ち着かなくなる感覚がある。

レノックスとデイヴ・スチュワートによるユーリズミックスの第二作で、発売は1983年。レノックスは2023年の米国議会図書館のインタビューで、表題曲をロンドンの額縁工場の上の作業場で制作したと振り返っている。成功後の豊かな設備を当然の前提とするより、手元の道具から音楽を組み立てた時期として聴きたい。接続するのは十曲のアルバム構成で、六曲を足した拡張版ではない。

声が変える角度

電子音の土台が一定だからこそ、声の小さな変化が明瞭になる。句を強く始めるのか、音を長く残すのか、声を重ねて広げるのか。その選択によって、伴奏の受け取り方も変わる。歌だけを主役にしても、シンセサイザーだけを時代の記号として扱っても、この関係は見えにくい。音が入る場所と消える場所を聴いてみよう。反復は何も起きない状態ではなく、同じ形の内側で違いを感じ取るための枠として働く。

有名曲の周囲を聴く

アルバムは「Love Is a Stranger」から始まり、「The Walk」のあと、六曲目に表題曲が現れる。最初からヒット曲だけを繰り返した場合とは違う到着になる。その後の「Jennifer」と最後の「This City Never Sleeps」は、別の広さや不安を残し、全体を同じ速さで押し切らない。曲が変わったら、拍がどれくらい前に出ているか、声がどれほど近いかを比べたい。同じ二人の作る世界にも、距離や光の濃さがいくつもある。一曲ずつの印象を比べるだけでなく、前の曲が終わって次が始まる間にも耳を向けよう。順番によって、同じ声の聞こえ方が変わることを確かめられる。

映像を離れて

強い視覚的な印象を知っていても、一度は映像を見ずに聴くとよい。特定の人物像や場面を先に決めなければ、断言しているような声が、同時に答えの定まらない問いを残すことに気づく。新しい音が追加される瞬間だけを待たず、同じ模様に戻ったときの声の変化を追ってみよう。限られた反復の中で感情の位置を動かす技術が、古い電子音への懐かしさ以上の聴く理由になる。小さな違いを拾うほど、親しみやすい輪郭の内側に落ち着かない表情が見えてくる。

曲からたどるアルバム

同じ電子音が戻るたび、声の力と距離を比べる。

  1. Sweet Dreams (Are Made of This)

    すぐに分かるシンセサイザーの反復でも、安心して聴けるとは限らない。強く置かれる声と戻り続けるリズムの間に、確信と不安が共存する。レノックスは議会図書館のインタビューで、夢や願望という視点からこの曲を説明した。それを唯一の答えにせず、初めと終わりで反復がどう感じられるかを聴きたい。接続先はアルバム六曲目の約三分三十七秒版で、長いリミックスではない。低い反復を追ってから、声の長さや重なりへ耳を移そう。新しい材料が次々に増えなくても、聴き手の立つ場所が変わる。その限られた形の豊かさが、短い曲の中にある。

    参考資料 · Library of Congress: Annie Lennox interview,April12 2023
  2. Love Is a Stranger

    規則的に進む電子音の上で、声は近づいたり距離を取ったりする。大きなリフレインだけを待たず、句の始まりの強さと、長く残る音を比べると緊張がつかみやすい。十曲のアルバムを開く曲であり、表題曲に先立って声と反復の関係を示す入口になる。一度は土台の拍を追い、次はレノックスの音色が変わる場所に注意を向けよう。近くで語るような距離と、より広がった声が同じ空間で交代する感覚がある。その変化は電子音の上に載せた飾りではなく、曲全体の押し引きを作るものだ。聴き手と歌手の距離が一定ではないことを、続くリズムがかえって際立たせる。

    参考資料 · Apple Music: SonyBMG ten-track edition

次に聴く一枚

ABCのThe Lexicon of Loveと続け、リズムと声が関係の緊張を作る別の方法を聴きたい。

The Lexicon of Love ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。