ソウル / R&B / フィラデルフィアとスウィート・ソウル · 1973
Spinners
スピナーズ
Spinners · The Spinners
この一枚を聴く理由
代表曲を冒頭に集めず、長い告白と短い約束の対比を置き、最後まで曲順を働かせる十曲。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「I’ll Be Around」は一曲目でなく五曲目。その直前には、ほぼ七分ある「I Could Never (Repay Your Love)」が置かれる。知っているヒット曲を待ちながら通り過ぎると、長く留まる告白から短い約束へ移る対比を失う。最後も別の代表曲「Could It Be I’m Falling in Love」だ。有名な歌の集まりであると同時に、それをどこで出会わせるかを決めたプログラムとして聴きたい。
1973年の本作は、モータウンで活動していたデトロイトのグループがアトランティックへ移って出した最初の盤。同名だから最初の録音という意味ではない。トム・ベルの制作と編曲の下で、声、弦、管、ギターとリズム楽器が動く。作曲者にはベルとフィル・ハートのほか、ブルース・ホーズやイヴェット・デイヴィスらもいる。一つの音を共有しても全曲を同じ人が書いたわけではなく、豊かな伴奏もいつも同じ役割とは限らない。
長い四曲目を通る
冒頭二曲から「Don’t Let the Green Grass Fool You」まで進むと、四曲目で時間が大きく広がる。「I Could Never」は現行版で約六分五十六秒。歌唱力を証明する試験としてだけ聴かず、同じ感情が戻る時に句の終わりや楽器の余地がどう感じられるか追ってみよう。その後の「I’ll Be Around」が約三分九秒という差も明瞭になる。長さを単独の数値でなく、隣の曲との関係として受け取れる。
知っている題名の間を残す
後半は「One of a Kind」で始まるが、次の「We Belong Together」にも別の居場所がある。「Ghetto Child」まで行けば、恋人への言葉だけでは説明しにくい題名も現れる。全十曲を甘い恋愛の告白にまとめないほうがよい。声と編成が滑らかにつながっても、異なる文が置かれうる。既知の反復句を見つける楽しさと、初めて聴く曲に留まる時間を両方残したい。
最後に並ぶ異なる問い
「How Could I Let You Get Away」の次に「Could It Be I’m Falling in Love」が盤を閉じる。題名から同じ人物の続く物語と断定はできないが、失った関係への問いから新しい感情への問いへ進む順序は興味深い。最後の曲を先頭に置いたベスト盤と原作を分けて接する理由にもなる。初めから終わりまで同じ温度だったという印象より、長さと隣人によって既知の歌の役割が変わる経験を得られるだろう。
曲からたどるアルバム
四曲目から五曲目への長さの差を聴き、最後の二曲を続けて聴いて原作の閉じ方を確かめよう。
I Could Never (Repay Your Love)
四曲目の約六分五十六秒の版で、ブルース・ホーズの作品。次の「I’ll Be Around」の二倍以上あることが、具体的な入口になる。長いから常に同じ強さで埋める必要はない。声の句が終わった後に残る空間と、そこへ入る楽器の動きを追おう。大きな編成は豪華さの記号だけでなく、声が留まる余地を分ける材料にもなる。気持ちが繰り返される時にどれほど待つかを考え、早く要約せず最後まで進みたい。そのまま次へ移れば、長い告白の後に短い約束が来る対比が生まれる。有名曲を一つずつ聴くだけでは得にくい、この盤の配置を体験する方法になる。
参考資料 · Qobuz / Atlantic — licensed instrumental and writing creditsI'll Be Around
約三分九秒の五曲目で、ベルとフィル・ハートの共作。最初はシングルのB面だったという来歴は、代表曲も初めから後の位置を約束されてはいなかったことを示す。ただ、ここでは成功談で音を置き換えず、盤の中の場所に注目しよう。長い四曲目の後では、短い形式の集中が際立つかもしれない。リズムとギターを追い、声の句へ注意を移して、記憶しやすい一節と周囲の演奏の関係を考えたい。よく知っているから伴奏まで単純とは限らない。次の「One of a Kind」への移行も残せば、このヒット曲が十曲の一つとして働くところを聴き続けられる。
参考資料 · Rock Hall — Thom Bell and the original B-side hit
次に聴く一枚
スタイリスティックスの初作へ進み、同じベルの制作でも異なる声の集団と曲の長さが作る差を比べたい。
The Stylistics ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Rhino — Spinners 1973, Atlantic debut and Thom Bell production · www.rhino.com
- Cherry Red — original ten-song programme and separate expanded bonus tracks · www.cherryred.co.uk
- Qobuz / Atlantic — licensed instrumental and writing credits · www.qobuz.com
- Rock Hall — Thom Bell and the original B-side hit · rockhall.com
- Apple Music — original ten-song distribution · music.apple.com