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Right Place, Wrong Time

ブルース / 現代ブルース · 1976

Right Place, Wrong Time

Otis Rush

この一枚を聴く理由

スロー・ブルースと歌の流れるバラードを並べ、ギタリストだけではないラッシュの表情をつかむ一枚。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

『Right Place, Wrong Time』は、長いタイトル曲の印象だけに収まらない。Tore Upが短く勢いのある入口を作り、第二曲では時間が大きく広がる。Easy GoとThree Times a Foolを通ると、Rainy Night in Georgiaの滑らかな旋律が現れる。ギターの音を強く曲げるオーティス・ラッシュの個性は明らかだが、この並びは歌手として曲ごとに力のかけ方を変える姿も伝える。

録音はCapitolのために行われた一九七一年、最初の発売はBullfrogからの一九七六年である。正規再発を扱うP-Vineの説明では、制作をラッシュ自身とニック・グレイヴナイツが共同で担当した。録音年と発売年を分けて考える必要がある作品だ。ただし長い発売待ちの経緯だけで、十曲すべてを挫折の物語にまとめると音楽の幅を見落とす。力強く進む曲、時間をかけるブルース、歌の線を柔らかく伸ばす曲が、それぞれの形を保って並んでいる。

第二曲で広がる時間

最初の曲は約三分二十秒、次のタイトル曲は五分を超える。早い段階で現れるこの大きさの差が、アルバムの範囲を広げる。音を多く詰める代わりに、一つの音を曲げて長く保ち、拍をまたいで重みを残す時間が生まれる。続く二曲は再び別の規模へ動くため、タイトル曲の遅い歩みが全体を支配することはない。強い一曲を中心にすべてを揃えるのではなく、隣り合う曲の大きさを変えて輪郭を見せる構成である。

中央に置かれた歌の柔らかさ

五曲目のRainy Night in Georgiaでは、声が旋律を途切れず運ぶ姿が前に出る。ブルースの強いギター表現とは違う方法で、歌の内側に重さを置く場面だ。直後のNatural Ball、さらにI Wonder Whyへ進むと、この柔らかな中央部分が次の曲の力を際立たせることも分かる。歌はソロを待つための空白ではなく、配列の性格を変える素材になっている。演奏者の名で聴き始めた人にも、歌手としての選択が残る位置である。

最後にもう一度拡大する

後半のYour Turn to Cryでスロー・ブルースに戻った後、Lonely Manは三分に満たない長さに収まり、Take a Look Behindは五分半を超えて終幕を担う。最後の二曲は縮小して消える流れではなく、一度まとめた力を再び広げる関係にある。冒頭の短い曲と長い曲、中央のバラード、終わりの時間差を合わせると、十曲は単なるギター名演の集積には見えない。それぞれの歌が異なる規模を持ち、その配置から全体の起伏が生まれている。

曲からたどるアルバム

第二曲の長いブルースと第五曲のバラードを比べ、最後の二曲の規模の変化まで追いたい。

  1. Right Place, Wrong Time

    第二曲は約五分二十六秒。最初のTore Upより広い枠の中で、ギターの音を曲げて保つ動作が重みを持つ。速く多く弾くことより、残された音が拍をまたいでどう響くかが焦点になる。声と楽器は同じ遅い形式に収まりながら、同じ長さの句を繰り返す必要はない。短い第一曲の直後に置かれたため、アルバムは早くも時間の幅を示す。後続曲はその幅を別の大きさへ変えていくので、この一曲の速度が全体の決まりになるわけではない。独立した演奏の強さと、第二曲として先の可能性を開く働きが重なる場所である。音を伸ばす行為が曲順の中でも意味を持つ。

    参考資料 · P-Vine licensed edition: production and original sequence
  2. Rainy Night in Georgia

    五曲目にある約四分のバラードは、ギターの大きな屈折とは異なる方法でラッシュの力を示す。声が旋律を続けて運ぶことが中心になり、楽器は歌の形を支える側へ回る。柔らかくなっても表現の重さがなくなるわけではない。タイトル曲と並べると、強さを作る手段が変わったことが分かる。続くNatural BallやI Wonder Whyにとっても、この中央の曲が新しい出発点になる。アルバムの終着ではなく、方向を変える場所に置かれたバラードなのだ。歌手として曲の性格に合わせる判断が、十曲の配列を単調にしない。ギターだけを待たずに聴く理由がここにある。

    参考資料 · P-Vine licensed edition: production and original sequence

次に聴く一枚

初期のThe Cobra Recordingsへ戻り、短いシングルの枠に凝縮された歌とギターの関係を比べたい。

The Cobra Recordings ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。