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Blue(ブルー)

フォーク・カントリー / シンガーソングライター・フォーク · 1971

Blue(ブルー)

ジョニ・ミッチェル

Blue · Joni Mitchell

この一枚を聴く理由

題名から静かな悲しみだけを予想しないでおこう。歩きたくなるリズムとピアノのそばの声が、去りたい気持ちと残りたい気持ちを違う距離で伝える。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

最初は「Carey」と「River」を並べてみたい。片方では拍に身体が動き、もう片方ではピアノの前にいる声へ注意が近づく。どちらも悲しい歌、とまとめるには温度の差が大きい。Blueは心の状態を言葉で説明するだけでなく、ためらいや速度の変化を音で感じさせる一枚だ。何が起きたのかをすべて調べる前に、同じ歌い手が曲ごとに違う話しかけ方をすることを聴いてみよう。自分の経験に重なる一瞬があれば、そこからでも十分に入っていける。

1971年6月22日発売の全十曲。ピアノ、ギター、弦を弾く楽器ダルシマーの異なる質感に、少数の共演者が加わる。一人ですべて演奏した告白の記録と思い込むと、伴奏が作る違いを見逃しやすい。歌の相手を実在の恋人へ一対一で当てはめることも、聴くための条件ではない。近くにいたいのに別の場所も気になる、その揺れが自分にはどう届くか。人物の正体を確定するより、その小さな引っかかりを残しておくほうが、次に聴く楽しみにつながることがある。

軽い足取りもこの盤の一部

「Carey」や「California」を通った後では、遅い曲の静けさも違って感じられる。明るい伴奏が、そのまま悩みのない気分を表すとは限らない。一度目はリズムを追い、二度目は声が短く切れるところ、長く伸びるところへ耳を移す。身体が進む速さと言葉がとどまる速さは同じだろうか。楽しい曲と悲しい曲に先に分けず、その間にある感触を聴きたい。声と伴奏を別々にたどるだけでも、同じ一曲に戻る理由ができる。

最初から一つの評価ではなかった

現在の名声を1971年の反応へそのまま重ねないでおこう。当時のリッチ・ウォーレンは内面へ向かう姿勢を批判しつつ、最後の曲の具体的な描写は評価した。これは一人の批評であり、聴衆全体の答えではない。今聴く側にも余地がある。名盤だから全曲へすぐ共感しなければならないわけではない。近く感じる箇所と、少し離れていたい箇所を両方残してよい。別の日に戻ったとき、その距離が変わることも音盤との付き合い方になる。

声に近づく距離は自分で決める

一曲を選んだら、歌の前後にある楽器の時間まで聴く。声が消えても同じ空気が残るだろうか。言葉の意味を読んだ後は、文章を目で追う速度から、歌が進む速度へ戻りたい。文字では言い切って見える思いが、伸びる音では別の表情を持つこともある。静かな部屋でも歩いているときでも、決まった感情を再現する必要はない。気になった一曲に隣の曲を足してみる。その順番を自分で選ぶことが、よく知られた名盤を身近な一枚にしてくれる。

曲からたどるアルバム

CareyとRiverを比較し、その後で十曲の順番へ戻りたい。リンク先は原盤と同じ曲目の配信版。試聴は曲の一部のみ。

  1. Carey

    明るい拍に乗りながらも、心まで単純に明るいと決めないで聴きたい。去りたい気持ちと、その場に引かれる気持ちが一曲に同居する。公式クレジットにはスティーヴン・スティルスのベースとギター、ラス・カンケルのドラムが記される。一人で打ち明ける歌という印象の外に、共演者が足取りを作る姿も見えてくる。まず伴奏を追い、次は声が句を伸ばす場所へ戻ってみよう。言葉がとどまる間にも、音楽は歩き続けるように感じるだろうか。題名の人物を特定しなくても、出発を考えながら何度も振り返ってしまう経験は重ねられる。伝記の知識より、その引き合う感覚が身近な入口になる。

    参考資料 · Joni Mitchell: Blue, official discography and track credits
  2. River

    ピアノが呼び起こす季節の気分と、声の孤独の間に耳を置く。親しい祝祭の空気が、かえって一人で離れている感じを強めることもある。1971年のティモシー・クラウスの評は、この曲の自己憐憫やピアノ表現に批判的だった。それを今の正解にする必要はないが、よく知る歌が初めから同じ意味で迎えられたわけではないとわかる。まずピアノを追い、次は長く保たれる声の句を聴いてみたい。どちらで気持ちが近づき、どちらで少し距離を置きたくなるだろう。初期の批評とも後年の名声とも、必ず同じ答えでなくてよい。繰り返すうちに、自分がこの歌に戻る場所を見つけられる。

    参考資料 · Timothy Crouse: Blue, Rolling Stone, August 5, 1971; artist archive

次に聴く一枚

ニック・ドレイクのPink Moonへ。少ない楽器と近い声が作る場所は、どのように違って聞こえるだろう。

Pink Moon ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。