ジャズ / ハードバップとブルーノート · 1960
ジ・インクレディブル・ジャズ・ギター・オブ・ウェス・モンゴメリー
ウェス・モンゴメリー
The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery · Wes Montgomery
この一枚を聴く理由
単音、オクターヴ、和音を異なる大きさの表現として聴き、ピアノもいる四重奏の中でその違いを考える。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery』という題名は、まず驚く技術を期待させる。しかしどれほど速く弾けるかだけを試すと、同じ楽器が音の厚みを変える能力を見落としやすい。一本の旋律、同じ音を異なる高さで重ねるオクターヴ、複数の音を組む和音には別の形がある。音が増えれば感情も強くなる、あるいは点数が上がるとは限らない。どの形がどの場面を担うかを考えてみたい。
1960年の作品で、ギターのモンゴメリーにトミー・フラナガンのピアノ、パーシー・ヒースのベース、アルバート・ヒースのドラムが加わる。一本のギターが全ての層を埋める独奏盤ではなく、ピアノとギターが共に和音を作れる四重奏だ。両者が同じ役目だと決めないところから聴き始められる。ここではCraftの2025年リマスターによる元の八曲を選び、別セッションや同じ曲のライヴは加えない。録音の時代と今回の再発時点を区別する。
線と厚みを分けて考える
オクターヴが難しければ、同じ名前の音を高低で重ねる方法と考えればよい。二つの独立した旋律を同時に作ることとは違う。和音はさらに別の音の組み合わせになる。この区別があれば、旋律の進む方向と、その表面が広くなる感覚を分けられる。毎回技術の名を当てる必要はない。細い線のようだった音が塊のように感じられる時だけ気付いても、別の面が開く。大きくなったほうを自動的に優れた表現としないことも大切だ。
ピアノのいるギター盤
フラナガンがいるので、ギターの和音を伴奏者の不在を埋める行為だけとは考えなくてよい。別の和声楽器と一緒にいる中での選択になる。ベースとドラムも消してよい背景ではない。四人が演奏することは、全員が同じ密度で瞬間を満たすことを意味しない。ギターの変化が四重奏の中でどう位置を取るかを考えると、リーダーの技術と仲間の存在を別々に評価する習慣から少し離れられる。
四曲目から五曲目へ
「Four on Six」が元の第一面を閉じ、「West Coast Blues」が第二面を開く順序を覚えたい。連続再生で物理的な停止はなくなっても、中間を分ける配置は残る。後者は三拍子系のブルースである。ブルースを一つの拍子や気分だけで知っていたなら良い比較になる。二曲を過ぎて冒頭へ戻ると、一場面だけでギターの能力を代表させるより、複数の曲が異なる条件を出すと分かる。同じ四人がその条件を受け持つことにも、一枚を続けて聴く意味がある。
曲からたどるアルバム
「Four on Six」と次の「West Coast Blues」をつなぎ、音の厚さと拍子の性格を別々に比べる。
Four on Six
四曲目で、元の第一面の最後。題名の数字だけに全てを説明させず、その位置が前の三曲をどうまとめるかを考えたい。ギターでは単音の線と厚い音の違いに注目できる。複数の音が同時に出ても、必ず感情が複雑になったとは限らない。同じ楽器が別の重さを持つことを楽しめばよい。ピアノもいるため、ギターの和音を一人で伴奏まで補う曲芸だけと考えずに済む。他の演奏者のいる場で選ぶ音なのだ。単独で聴いた後は「West Coast Blues」へ続けてみよう。元の盤面の境界で、同じ四人が別の条件に出会う。技術だけでなく、一枚の配置も感想の対象になる。
参考資料 · Library of Congress registry essay: quartet, guitar textures and triple-meter West Coast BluesWest Coast Blues
五曲目、元の第二面の冒頭で、三拍子系のブルース。ブルースと聞いて特定の速さや四拍子だけを思うなら、その結び付きをほどく機会になる。まず拍の反復が作る動きを感じ、その中のギターの線と厚い音の差を考えたい。拍子と密度は別問題であり、大きな和音で拍子が変わるわけでも、細い旋律で土台が弱くなるわけでもない。「Four on Six」と並べれば同じ編成の別の顔を比べられる。ピアノ、ベース、ドラムを消してギターだけを残す想像より、四人がいる状態の変化として聴こう。一人の個性を確かめながら、四重奏の関係も残しておける。
参考資料 · Library of Congress registry essay: quartet, guitar textures and triple-meter West Coast Blues
次に聴く一枚
『Soul Station』のテナーとピアノの四重奏と比べ、前面にギターが来ると和音を作る楽器同士の関係がどう変わるか考える。
Soul Station ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。