映画音楽 / ニュー・ハリウッド · 1960
Psycho
Bernard Herrmann
Psycho · 버나드 허먼
この一枚を聴く理由
同じ弦楽器の響きが、動きと静止の間で緊張を変える。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
《Psycho》では、弦の鋭い動きと、ほとんど止まったような響きが交互に耳を捉える。一九六〇年は映画とバーナード・ハーマンの音楽の年。ここで扱うのはジョエル・マクニーリー指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団による一九九七年発売の再録音で、映画に使われた原録音ではない。
その区別を踏まえると、台詞や映像から離れた音楽の働きが見えてくる。ヴァレーズ・サラバンドのこの盤は四十トラックで構成される。大きな旋律を一曲ずつ味わうというより、小さな動きが別の場所で戻ってくることに気づきながら聴くと、短い曲の連なりに長い呼吸を感じられる。
編成の限定が生む変化
使われるのは弦楽合奏だが、響きの表情まで一つになるわけではない。短く切る音、長く保つ音、高い声部と低い声部の距離が、その都度違う空間を作る。大きな音だけを怖さの目印にすると、静かな部分の落ち着かなさを聴き逃してしまう。何が新しく始まったかだけでなく、何がまだ終わらずに残っているかに注意してみよう。動きの少ない箇所でも、次を待つ感覚は消えない。
曲名を物語の説明にしない
各曲には人物や場所、行動を示す名前が付いている。映画を知る人には記憶の入口になるが、初めて聴く人が筋を暗記する必要はない。冒頭の急迫した動きと、その後の緩やかな流れを比べるだけでも音楽の対照は分かる。ただし、アルバムの時間と映画の時間は別物だ。再録音を続けて聴く体験と、台詞や効果音、無音の場面の中で音楽が現れる体験を同じにはできない。
有名な一曲の先まで
「The Murder」は強烈な目印になる。それだけを繰り返すより、「Prelude」から順に進み、その曲が終わった後も耳を残しておきたい。急な動きを記憶した耳は、次に伸びる静かな音をどう受け取るだろうか。曲名から結末を説明することなく、前後の密度を比べるだけで発見はある。限られた楽器でも、反復の位置と音の間隔を変えることで期待は揺れ続ける。この録音は、その作曲上の工夫に後年の演奏を通して触れる機会だ。原録音の代用品とするのではなく、楽譜が新たな演奏の時間を得たものとして聴くとよい。音量を上げて刺激を探す前に、同じ音量のまま静かな曲を挟んで聴き直すと、強い身振りの意味も変わってくる。 また、一つのトラックを独立した完成形と考えず、隣の曲への移り目として捉える方法もある。短い音楽が終わったときにすぐ結論を出さず、次の響きまで待ってみる。長い旋律の代わりに、異なる長さの断片を耳がつなぐ。その聴き方は、この盤の四十という曲数を負担ではなく手掛かりにしてくれる。
曲からたどるアルバム
四十曲の順番で聴く。試聴リンクも一九九七年発売の再録音で、映画原録音ではない。
Prelude
短く区切られた和音が、音と音の隙間まで動きの一部にしてしまう。速いことだけが緊張の理由ではない。次の音を待たせる切れ目に注意すると、反復の感じ方も変わる。最初は高い弦の動きを追い、次は低い音がどこに留まるかを聴いてみよう。同じ型の繰り返しに思えた部分にも、力の向きの違いを探せる。ここで聴くのはマクニーリーとRSNOの再録音であり、映画の編集や効果音をこの演奏の特徴として混同しないことが大切だ。画面がなくても、小さな動作が戻ってくるたびに予感が強まる、その仕組みを音そのものの順序から辿ってみたい。
参考資料 · Pearson: Psycho score study guideThe Murder
鋭い弦の身振りを知っているからこそ、記憶した映像だけで聴き終えないようにしたい。強い立ち上がりを確かめたら、高い声部と低い声部の関係、次の動きまでの間隔へ注意を移してみよう。前の「The Bathroom」から続けて聴き、後の「The Body」まで残すと、短い曲が周囲に与える圧力も分かりやすい。細かな筋の説明はなくても、その対照は聴ける。試聴は一九九七年発売の再録音なので、映画原録音の音色や映像との正確な同期を確認する資料にはならない。ここでは始まる瞬間だけでなく、どこで音が止まり、何が耳に残るのかを追いたい。
参考資料 · Pearson: Psycho score study guide
次に聴く一枚
《The Mission》へ進むと、別の楽器編成が映画の外で生み出す空間を比べられる。
The Mission ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Varèse Sarabande 35th anniversary programme, producer Robert Townson archive · roberttownson-productions.com
- Apple Music: Psycho, McNeely and RSNO · music.apple.com
- Pearson: Psycho score study guide · qualifications.pearson.com
- Pearson: specified recordings and catalogue numbers · qualifications.pearson.com
- SoundtrackINFO: Psycho re-recording, 1997 programme · www.soundtrackinfo.com