映画音楽 / シンセサイザーと電子音 · 1982
Blade Runner(ブレードランナー)
ヴァンゲリス
Blade Runner · 반젤리스
この一枚を聴く理由
広がる電子音の中に、近くで息をするような旋律が入る。未来都市の背景という印象から、音の距離と温度へ耳を移してみたい。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
最初は「Love Theme from Blade Runner」を選んでみる。広い響きを背にサックスの一節が近づくと、電子音楽は冷たいという思い込みが揺らぐかもしれない。一方の「Blade Runner (End Titles)」では、前へ進む動きが注意を引く。同じ盤の中で、留まる時間と走る時間がどう違うか。その比較なら映画を知らなくても始められる。未来の街の姿を先に覚えるより、音が近づき、遠ざかる瞬間を追いたい。場面の説明がなくても、自分の耳を置く場所は見つかる。
サイトの1982年は映画の年で、ここで参照するヴァンゲリスの十二曲アルバムは1994年発売である。フランス国立図書館の記録も1994年を確認し、全曲が映画で使用された音楽ではないと記す。映画の全場面を順番に並べた記録とは考えないほうがよい。他の演奏家によるオーケストラ編曲盤とも区別したい。映像の記憶を確かめることと、音盤としての流れを聴くことは少し違う。曲の終わりから次の入口へ、画面のない時間をたどる楽しみも、この一枚には残されている。
音の置かれる距離を感じる
楽器名をすべて当てようとせず、手が届きそうな音と、遠くに広がる音を分けてみる。旋律が休んでも背後の響きが残れば、空白というより待つ場所ができる。一度目は最もはっきりした線を、二度目はその周囲を追ってみたい。遅い曲の中でも注意を向ける先は変えられる。雰囲気を大きくするために音量を上げ続ける必要はない。楽な大きさで始め、何が近く感じられるかを確かめるだけでも、同じ曲の別の入口になる。
物語を知らない耳にも
曲ごとに場面を解説すると、聴く前に結末まで知ってしまいかねない。まずは盤の中の対照をたどろう。声のある箇所、楽器だけになる箇所、動きが強まる箇所で、集中の仕方は変わる。台詞の意味を取り逃しても、失敗した鑑賞ではない。どの音で注意が止まるかを知れば、誰かの指定した映像ではなく、自分の距離感で留まれる。映画を後から見る場合にも、音から先に入った記憶を持って出会うことができる。
馴染みの空気の先まで
雨やネオンが浮かんでも、それだけで聴き終えないでおこう。一曲の始まりと終わりで音の密度はどう変わるか、長い旋律の後に何が残るかを追える。短い試聴で惹かれたなら、全体へ進むと待つ時間も味わえる。次の出来事を急いで見せないことが、ここでは魅力になる場合がある。名盤という評価に同意するより、もう一度戻りたい瞬間を探すほうが身近だ。背景として流していた曲を一つ選び、終わりまで注意を残してみたい。
曲からたどるアルバム
Love Theme from Blade Runnerの長い息とBlade Runner (End Titles)の進む力を比較したい。参照するのは1994年の十二曲構成。
Love Theme from Blade Runner
サックスが一つの句を終える間、背後の電子音がどんな場所を保つか聴いてみる。二つは競うより、異なる距離を作るように感じられる。フランス国立図書館の音盤記録は、この曲のサックスをディック・モリシーと明記する。電子音楽だから全て鍵盤の音だと思わないための手がかりになる。映画の関係性を説明されなくても、近い旋律と広い背景の対照は追える。一度目は旋律を、次は句の後に残る響きを聴きたい。小さな休みが表情を変えるだろうか。ロマンティックという言葉より、次の音を待つ時間を覚えておく。長い音が続いても、気持ちまで一つに固定されるとは限らない。
参考資料 · Bibliothèque nationale de France: Blade Runner, 1994 release and performer creditsBlade Runner (End Titles)
遅い曲に耳が慣れた後で、この曲の進む力を比べてみる。繰り返す動きを追いながら、その上の旋律も同じ速度で進むか感じたい。参照する十二曲盤では十一曲目で、後には「Tears In Rain」が残る。終わりを示す題名でも、盤の最後の曲ではない。この一曲だけの場合と、最後の二曲を続けた場合を比べれば、勢いの後に残す余韻の違いがわかるかもしれない。映画の結末を聞く必要はない。まず拍を追い、次は遠くに広がる音へ注意を移す。切迫感は速度だけでなく空間や配置からも生まれる。前後の曲が別の呼吸を促すとき、その違いはさらに感じやすくなる。
参考資料 · Apple Music / Warner: Blade Runner, twelve-track 1994 album
次に聴く一枚
ジョン・カーペンターのHalloweenへ。電子音の広い空間と、短い反復の中に保たれる緊張を聴き比べたい。
Halloween ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。