ポップ / ポップ・ソングの基礎 · 1977
The Album
ABBA
この一枚を聴く理由
すぐに届くポップの楽しさが、長い演奏の空間や劇中人物の声へ広がっていく。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『The Album』は「Eagle」の広く展開する演奏と、「Take a Chance On Me」の細かく組み合う声を並べる。一方は大きな場所を開き、もう一方は短い反復を更新し続けて耳をつかむ。
旋律は近づきやすいままだが、九曲の流れは一種類の明るさを保つわけではない。関係を問い直す歌を通り、最後の三曲へ進むと、歌う人が物語の中の人物として見えてくる。ヒット曲を知っていても、この順番で聴く意味がある。
声の周囲の広さ
冒頭の二曲は音量より、声の周りにある余白を比べたい。「Eagle」では長く続く楽器の動きが歌を包み、次の曲では短い音節の反復と長い旋律が別々の役割を担う。「One Man, One Woman」と「The Name of the Game」に進むと、親しいハーモニーの内側へ迷いや問いが入る。曲が滑らかでも、そこで語られる関係まで穏やかとは限らない。まず一番よく聞こえる声を追い、次には後ろの声が同じ言葉を支えるのか、違う動きを作るのか確かめてみよう。
最後の三つの場面
最後の「Thank You for the Music」「I Wonder (Departure)」「I’m a Marionette」は、1977年のツアーで披露された小さなミュージカル『The Girl With The Golden Hair』とつながる。アルバムには三場面のスタジオ録音が収められた。全てをメンバー本人の直接的な告白と決める必要はない。歌で前へ進もうとする期待、去ることへの不安、自分の意志で動けない感覚を、異なる声の態度として聴きたい。その前の「Hole In Your Soul」まで続いた活力が、この三曲で別の意味を持つ。舞台は機会を与えても、自由まで約束するとは限らない。
発売と後年の見方
アルバムの発売は1977年12月で、英国のアルバム・チャートでは1978年に七週の首位を記録した。発売の年とチャートの時期を分けると、資料に現れる二つの年を整理できる。現在のApple Musicの紹介はロックや劇音楽の要素の広がりを強調するが、これは後年の評価であり、当時の批評全体の合意ではない。リンク先は原盤の九曲を収め、1977年Polarの権利表記を持つ。2007年デラックス盤の別テイクやライヴ追加曲は、本編とは分けて聴こう。まず最後で止め、明るく歌うことと安心した気持ちで歌うことがどこで違ったか振り返ると、知っていた旋律も新しい表情を見せる。
曲からたどるアルバム
冒頭二曲の空間を比べた後、最後の三曲は順番に聴いてみよう。
Take a Chance On Me
短く繰り返す声が拍を作る間、別の声は長い旋律を広げる。一つのサビの塊としてではなく、反復する層と先へ進む層へ分けてみよう。後年のApple Musicの紹介もアグネタとフリーダの声の組み合わせに注目する。ただし美しいハーモニーという判断より、同じ瞬間に各声が違う仕事をすることが面白い。最初は反復だけを、次には長い言葉の線を追うと、曲の速さの感じ方も変わる。楽器が入った後、声だけで作った動きがどれほど残るかにも耳を向けたい。覚えやすいフレーズの内側で、小さな役割が休まず動き、その重なりが次の一回を聴きたくさせる。
参考資料 · Apple Music: original nine-song programme and later editorialI'm a Marionette
最後の曲では、規則的な伴奏が安心より落ち着かなさを生むことがある。ミュージカルの人物の声という背景を知ると、舞台が必ずしも自由な場所ではないと感じやすい。ただし、メンバーの私生活を直接記した資料として読む必要はない。反復が戻るたび、声が楽にその上へ乗るのか、運ばれていくように聞こえるのか比べよう。「Thank You for the Music」から三曲続けると、注目を集める能力と自分の人生を選ぶ力は同じでないかもしれないという緊張が現れる。終わったとき単に興奮したのか、動きが止まってようやく息をつけたのか。その違いが結末をもう一度聴く手がかりになる。
参考資料 · ABBA official: The Girl With The Golden Hair and album versus deluxe versions
次に聴く一枚
『Arrival』へ戻り、親しみやすいサビと不確かな感情が共存する別の方法を比べたい。
Arrival ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。