ポップ / シンセポップとニューロマンティック · 1985
Songs from the Big Chair
Tears for Fears
この一枚を聴く理由
すぐ覚えられるサビを、長い編曲と曲同士のつながりの中へ置く。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
《Songs from the Big Chair》の《Shout》は、サビを早く聴かせてもすぐには終わらない。同じ言葉が戻る間に周囲の音が厚くなり、覚えやすい旋律が大きな時間を占めていく。知っている曲だと感じた後にも、耳を残す理由のあるアルバムだ。ヒット曲の数だけでは、その広がりを説明できない。
ローランド・オーザバルとカート・スミスのティアーズ・フォー・フィアーズが1985年に発表した作品である。ここでは《Shout》から《Listen》までの全8曲構成を基準とする。現在の配信盤にはマーキュリーの2014年表記があり、作品の発表年とは分けて考える。公式拡張盤に並ぶシングル編集版やリミックスは、この曲順を聴いた後に違いを確かめる資料となる。
長さも歌の一部
最初の二曲はどちらも長い呼吸を持つ。《Shout》の反復の後、《The Working Hour》の広い導入へ進むと、すぐ次のサビを求める耳が少し待たされる。その後の《Everybody Wants to Rule the World》は、より軽く転がるように感じられるだろう。大きな音を並べるだけではなく、重さと動きの違いで順序が組まれている。一曲を短く要約したときには失われる、この前後の感覚を味わいたい。再生を急いで飛ばさず、最初の三曲だけでも一続きに確かめてほしい。
境目をまたいで聴く
《Mothers Talk》の後に来る《I Believe》では、声と伴奏の距離が改めて意識される。さらに《Broken》から《Head Over Heels / Broken》へは、番号を気にせず続けて聴こう。参照盤の7曲目は二つの題名をまとめた表記になっている。よく知る歌が前後の動きに包まれ、単独のシングルとは違う輪郭を持つ。曲が終わったと判断する前に、次へ渡される音を探すと、記憶していたメロディーの外にも楽しみが増える。
最後に残る広さ
終曲《Listen》では、もう一つ明快なサビが来るのを待つより、響きの広がりへ耳を預けたい。冒頭で前へ押した反復が、最後にはその場に留まる時間へ変わるようにも感じられる。ただし、八曲を一つの物語に決めつける必要はない。歌声が前へ出る部分、楽器だけが残る部分、その間の配分を追えばよい。今聴き直す面白さは、1980年代らしい音の表面を懐かしむだけでなく、親しみやすい歌を長く伸ばし、隣り合わせる工夫にある。旋律を知っているからこそ、次は長さとつなぎ方へ注意を向けられる。
曲からたどるアルバム
サビの後にも編曲を追い、6–8曲目を続けて聴く。
Shout
サビがわかった瞬間から、その周囲がどう変わるかを聴いてみる。同じ声が戻っても、背後の音が同じ厚さとは限らない。参照盤の冒頭は約6分32秒あり、短いシングル編集版で覚えた耳には、後半の時間が新鮮に感じられるかもしれない。一度は声を追い、次は一定の拍を保ちながら、ギターなどが前へ出る位置を確かめよう。大きさは音量だけで生まれるものではない。公式拡張盤には編集版やリミックスも別に並ぶが、ここで選ぶのは原曲順の長いアルバム版である。言葉を覚えた後にも続く緊張を、反復の中で何が変わるかという問いから聴いてみたい。
参考資料 · Apple Music: eight-track Mercury editionEverybody Wants to Rule the World
軽やかに進むリズムと、大きな欲望を示す題名の距離を感じてみよう。明るい音だからと、歌のすべてを楽観的にまとめる必要はない。全8曲盤では長い《The Working Hour》の後に来る3曲目で、簡潔な動きが流れを変える。最初は低い音とドラムの関係を、次はギターや声が入る瞬間を追う。ある音の隙間を別の音が受け取っているかにも注意したい。サビだけを待たず、その間の短い接続が次の言葉をどう準備するかを聴くと、滑らかさの中の工夫が見えてくる。前後の長い曲と一緒に聴くことで、この曲の身軽さもよりはっきりする。
参考資料 · Apple Music: eight-track Mercury edition
次に聴く一枚
ユーリズミックスの《Sweet Dreams (Are Made of This)》と比べると、反復と声がつくるポップの大きさに別の形が見える。
Sweet Dreams (Are Made of This) ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。