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スリラー

ポップ / 1980年代ポップ · 1982

スリラー

マイケル・ジャクソン

Thriller · Michael Jackson

この一枚を聴く理由

知っているサビの下にも、まだ聴くところがあります。短い声の切れ目とベースの反復から、覚えていたヒット曲がもう一度動き出します。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「Billie Jean」の出だしだけで身体が動くなら、今回は歌が入る前の数秒をもう少し聴いてみてください。ドラムとベースが場所を作り、そこへ声が入ってきます。《スリラー》を有名な曲の集まりとして覚えていても、同じ歌い手が違う伴奏の中でどう拍を捉えるかを追うと、知っていたはずの曲に新しい細部が見つかります。映像を思い浮かべなくても、その動きは残っています。

1982年11月に出た原盤は9曲。表題曲のホラー映画を思わせる雰囲気だけを予想すると、「Human Nature」や最後の「The Lady in My Life」の柔らかさが意外かもしれません。強いリズム、ギターが前へ出る曲、声が近づくバラードが並んでいます。ヒット曲だけを選ぶ聴き方とは違い、曲順に沿うと身体の緊張がほどけ、また引き締まる瞬間も楽しみになります。

声の細かな動きが拍を作る

歌のうまさを高音や長い息だけで測らなくてもよいでしょう。短く切った言葉、一節の前の小さな声、拍のすき間に入る一音が、リズムをどれほどはっきりさせるか。「Wanna Be Startin’ Somethin’」の多くの音が動く感じと、「Billie Jean」の反復の上に声が立つ感じを比べてみる。楽器を全部言い当てるより、足で拍を取りながら声がどこで重なるかを感じるほうが、細かな技術にも近づけます。同じ曲を二度聴くときも、全部に集中しようとせず、ひとつだけ追う音を変えると違いがわかります。

一曲だけではなかった当時の広がり

レコーディング・アカデミーの回顧記事は、アルバムから7曲の米国トップ10シングルが生まれたと整理しています。1984年のグラミーではアルバムが年間最優秀アルバム、「Beat It」が年間最優秀レコードを受賞しました。別々の賞として捉えると、一つの成功だけではない当時の広がりが見えます。ただ、その記録が音の違いを代わりに聴かせてくれるわけではありません。おなじみの曲の外へ進むと、多様な入口のある一枚だと実感できます。

強い曲のあとに来る柔らかさ

「Beat It」「Billie Jean」のあとで「Human Nature」に耳を置いてみてください。それまでの拍の記憶が残っているぶん、周囲が広がるような感触が際立つことがあります。最後のバラードまで同じ熱量を期待する必要はありません。踊る歌い手と、静かに歌を続ける歌い手が一枚にいる。その幅を楽しめます。一度目は好きなサビを、次はその直前や直後の小さな音を追うと、長く知っていたレコードにも戻る場所が増えていきます。

曲からたどるアルバム

「Billie Jean」はベースと声を交互に、「Beat It」はギターの後ろに残る拍を聴いてみてください。映像の記憶と別に音だけを楽しむ入口になります。

  1. Billie Jean

    短いベースの形が繰り返され、歌の居場所をしっかり支えます。その上の声は均等ではなく、言葉を短く切ったり語尾を引いたりする。一度はベースだけ、次には声だけを追うと、身体が覚えていたリズムにも層があるとわかります。米国シングル・チャート1位となり、1984年のグラミーではR&B部門でも評価された曲です。当時の広い反応とは別に、今聴き直す楽しさは音と音のすき間にもあります。疑いと否定をめぐる歌の緊張を知ると、踊りやすさの中に落ち着かなさも聞こえます。有名なステップを思い浮かべなくても、声が入る前から身体を動かす仕組みは十分感じられます。

    参考資料 · Recording Academy: Thriller singles and contemporary chart response
  2. Beat It

    ギターが前へ出ても、踊れる拍はなくなりません。強い音と一定のリズムを分けて聴くと、ロックとポップの出会いが具体的に感じられます。歌の中心にあるのは、けんかに勝つ自慢よりも衝突から離れる選択。荒々しい表面との違いも面白いところです。1984年の年間最優秀レコード賞は、この録音への当時の認知を示します。ギターのソロを待つだけでなく、そのあと声とリズムがどう中心を取り戻すかにも耳を向けてみてください。華やかな演奏で終わらず歌へ帰る力があります。次の「Billie Jean」と比べると、同じ歌い手の拍の捉え方が違う装いで現れることにも気づきます。

    参考資料 · Recording Academy: 1984 award categories and winners

次に聴く一枚

《パープル・レイン》では、ポップの親しみやすさとロック・ギター、個性的な声が別の形で出会います。歌い手の順位ではなく、拍と歌が中心を分け合う方法を比べてみてください。

Purple Rain ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。