ポップ / アート・ポップ · 1999
When the Pawn…
Fiona Apple
この一枚を聴く理由
ピアノの動きと長い歌の句を、打楽器、管、弦が曲ごとに違う方法で支える。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
When the Pawn…は長大な正式題で知られるが、実際の作品は十曲に整理されている。On the Boundの動きを追えば、題名の謎よりピアノとリズムの関係が先に耳を引く。Paper Bagの軽やかな編成とFast As You Canの急な方向転換も、同じ人が書いた歌だ。強い感情を表す作品という評価だけでは、曲ごとに異なる設計を説明できない。何を感じるかと、その感情をどんな拍や長さへ入れるかを一緒に聴けるアルバムである。
フィオナ・アップルの第二作として1999年に発売され、ジョン・ブライオンが制作を担当した。全十曲の作詞作曲はアップル。ブライオンは当時のEQ誌で、必要に応じてクリックを使いながら、まずピアノと歌を録ってもらったと説明する。複雑な制作だからと、空白へ後から音楽を作り入れたわけではない。曲の基本的な動きと加えられる音を区別しながら、一方だけが最終結果を説明するとも考えないようにしたい。
編成の軽さと言葉の重さ
Love Riddenの次にPaper Bagが来る。管楽器を含む後者の活気から、内容もすべて軽いと先に決めないで聴こう。伴奏の表情と歌が一つの句を終える態度は、必ず同じ方向へ動くわけではない。ピアノが拍を立てる方法、管が応答する場所、歌の句が長く続く瞬間を順に追いたい。全楽器の名前を当てる試験にするより、どの要素が特定の瞬間に前へ出るかを比べるだけでもよい。
速さという題名の中の変化
Fast As You Canは、同じ速さで最後まで走る曲を予想させる。実際には急いで進む場面と、別の幅で広がる場面の関係を追うとよい。テンポや拍子の数字を先に知る必要はない。体で追っていた拍が違って感じられる瞬間を覚えよう。再び聴くときは、その変化をピアノ、ドラム、歌のどこで最初に感じるかを比べられる。転換が多いことと、曲がばらばらに散っていることは同じではない。
九曲目で判断を終えない
Get Goneで終わらずI Knowが続く。前の強い表現を唯一の結論にすると、最後の長さが余分に感じられるかもしれない。しかし終曲を別の判断や態度を示す場所として残すと、十曲の順番は怒りが増すだけの過程ではなくなる。歌を本人の性格診断に変えずとも、断固とした態度とためらいが異なる音楽の形を持つことは聴ける。冒頭へ戻り、始まりと終わりの推進力を比べよう。一枚の中に複数の態度があることも構成の一部だ。曲順を保つことで、その違いを一つの流れとして経験できるだろう。
曲からたどるアルバム
Love RiddenからPaper Bagへ、Fast As You Canの内部の転換へ進み、Get Goneの後もI Knowまで続ける。
Paper Bag
五曲目の約3分39秒のアルバム版。管楽器を含む編成が表情を変えるが、その明るい動きだけで歌の感情を決めないで聴きたい。ピアノの短い拍動と管の応答をまず追い、次にアップルが句をどこで切り、どこを長く残すかを聴こう。言葉をすぐ全部訳せなくても、歌と伴奏が必ず同じ表情で動くわけではないと感じられる。前のLove Riddenと後のA Mistakeも並べれば、この曲がどんな転換を担うかが見える。有名な映像を連想してもよいが、選んだのは原作アルバムの録音である。楽器が同じ句を一緒に押すか、短く違う方向を示すかを比べてみよう。
参考資料 · Qobuz Clean Slate/Epic: album versions, full durations and creditsFast As You Can
七曲目の約4分38秒のアルバム版を選ぶ。同名の別シングルや公演と混ぜず、内部の方向転換に必要な時間を残して聴く。最初は全拍子を数字へ直すより、速い部分で体が何を追っているかを探そう。別の性格の場面へ変わるとき、長い歌の句とピアノの動きも一緒に変化するだろうか。ドラムや打楽器は速さを維持する装置だけではない。強調する場所によって同じ長さの時間も違って感じられる。転換のたびに曲が初めからやり直されると考えず、前に聴いた要素が何を残して次へ進むか覚えたい。離れる動きと戻る動きが、この少し長いポップの形を作っている。
参考資料 · Qobuz Clean Slate/Epic: album versions, full durations and credits
次に聴く一枚
シネイド・オコナーのI Do Not Want What I Haven’t Gotへ進み、強い歌を一つの感情へまとめず、個々の編成から聴く方法を比べる。
I Do Not Want What I Haven't Got ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Sony Music Canada: official complete ten-title programme · shop.sonymusic.ca
- Qobuz Clean Slate/Epic: album versions, full durations and credits · www.qobuz.com
- EQ December 1999: Jon Brion describes piano/vocal starting tracks · www.worldradiohistory.com
- Apple Music: selected original ten-song programme · music.apple.com