ブルース / 戦前のデルタ・ブルースとカントリー・ブルース · 1940
Fixin' to Die Blues
Bukka White
この一枚を聴く理由
重い題材を歌っても、ギターは前へ進む。声と反復の長さの違いから表現の力が見えてくる。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
ブッカ・ホワイトの声は、滑らかな旋律よりも言葉を押し出す力で耳をつかむ。その間もギターは短い動きを繰り返し、声と同じ長さで止まろうとしない。「Fixin’ to Die Blues」を死についての静かな歌と予想していたなら、まず伴奏の推進力を確かめてほしい。
本項の1940年は原録音の時期であり、同名のLPがその年に発売されたという意味ではない。曲は「Black Train Blues」と組み合わされ、Vocalion05588として世に出た。接続するのはDocumentの2003年編集盤Aberdeen Mississippi Blues: The Vintage Recordings (1930–1940)。20曲にわたって異なる時期と場所の録音を収めるため、1940年の一回の演奏会として聴く盤ではない。
刑務所を歌うことと、そこで録ること
ホワイトはパーチマン刑務所に収容され、1939年にはそこで米国議会図書館のための録音を残した。しかし「Fixin’ to Die Blues」と「Parchman Farm Blues」は、釈放後の1940年にシカゴで録音された。後者の題名に刑務所の名があることと、現地で録音したことは別である。この商業録音にはウォッシュボード・サムが洗濯板の打楽器で参加している。経歴は背景を知る助けになるが、歌の一節ずつを実際の出来事の証言へ置き換える必要はない。
一枚に集まった複数の録音条件
冒頭には1930年の列車の歌や宗教的な歌が並び、1937年の録音を経て「Sic ’Em Dogs On」と「Po’ Boy」の1939年現地録音へ進む。最後の12曲が1940年のセッションで、表題曲は17曲目にある。そこから聴き始めてもよいが、次には最初へ戻りたい。ホワイトの表現を一つの暗い気分だけに閉じ込めずに済む。音の質感の違いも、単なる古さではなく、条件や共演者が変わる資料を並べた結果として考えられる。
発売時と再評価の時期を分ける
1940年の発売直後にどのような批評を受けたかは、今回の資料では具体的に確認できない。後年の受容はより明確で、1964年のBroadsideでアル・ウィルソンは新しい録音を論じる際、1940年の演奏を高い基準として扱い、「Fixin’ to Die」のリズムにも注目した。これは復興期の聴き手の視線である。今聴くなら死や収監という題材だけで理解を終えず、一行を歌う間にギターが何度戻るか、声がどこで間を置くかを追ってみよう。重い言葉を動かし続ける力は、その二つの時間の違いから生まれる。
曲からたどるアルバム
17曲目と13曲目の後、7・8曲目の1939年現地録音と条件の違いを比べる。
Fixin' to Die Blues
死を意識する語り手の声に対して、ギターの反復は動きを止めない。歌の一行が終わるところを、音楽全体の区切りだと思わずに聴いてみよう。声が長く伸ばす音と、伴奏の短い動きは同じ長さではなく、その差が前へ進む力を作る。接続盤17曲目は1940年のシカゴ商業録音で、刑務所での現地録音とは異なる。二度目には声の強調点とギターが戻る場所を別々に追いたい。題名を歌手自身の死の予告として読む必要もない。歌の中の人物を演じる声として聴けば、経歴だけでは説明できない間の取り方や力の入れ方が分かる。悲しい内容と活発な伴奏が同時に存在している。
参考資料 · Stefan Wirz: illustrated Bukka White discography, original labels and session detailsParchman Farm Blues
題名は収監先の刑務所を指すが、録音は釈放後のシカゴで行われた。そこを区別すれば、現地の音がそのまま入っていると想像する代わりに、経験を歌へ組み立てる演奏として聴ける。ギターとウォッシュボード・サムの打楽器が声を支えるセッションの一曲だ。13曲目を聴いた後、実際に1939年のパーチマンで録られた7・8曲目へ戻ると、同じ奏者の記録にも異なる条件があると分かる。まずギターの繰り返す輪郭をつかみ、その上で声が強まる場所と緩む場所を追ってみたい。歴史を知ることは大切だが、それだけでなく、強調や休み方という演奏の選択も曲を伝えている。
参考資料 · Mississippi Blues Commission: Aberdeen Mississippi Blues
次に聴く一枚
Charley PattonのFounder of the Delta Bluesとつなげ、声とギターが拍を分担する方法を比べる。
Founder of the Delta Blues ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Document Records: complete1930–1940 recordings DOCD5679 · thedocumentrecordsstore.com
- Apple Music:2003 Document twenty-track edition · music.apple.com
- Mississippi Blues Commission: Aberdeen Mississippi Blues · msbluestrail.org
- Stefan Wirz: illustrated Bukka White discography, original labels and session details · wirz.de
- Broadside April15,1964: retrospective appraisal of White’s prewar recordings · folknewengland.org
- National Park Service: Bukka White biography · www.nps.gov