ブルース / 現代ブルース · 1983
Texas Flood
Stevie Ray Vaughan and Double Trouble
この一枚を聴く理由
跳ねるシャッフルと緩やかな器楽曲を比べ、ギターの後ろで動くトリオの力を捉えるデビュー作。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『Texas Flood』の強いギターは、ベースとドラムが作る床の上で形を得る。Pride and Joyが弾むリズムを押すときと、終曲Lennyが和音を柔らかく広げるときでは、同じ三人の役割が変わる。速く多く弾くことだけが目的ではない。短い歌、長いブルース、続けて置かれた器楽曲、最後の穏やかな旋律が、ギターの動ける場所を違う大きさにする。一つの速度だけで走らないところに、トリオの幅が現れる。
一九八三年のデビュー作は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターと歌、トミー・シャノンのベース、クリス・レイトンのドラムで構成される。ジャクソン・ブラウンが提供したスタジオでの演奏が土台となった。エンジニアのリチャード・マレンはMixで、曲をライブのセットのように二度通して演奏させ、その段階では楽器だけを録音したと説明している。歌は後から加えられた。生きた合奏感と後続の制作作業は対立する説明ではなく、作品を作る別の段階なのだ。
短い二曲から長いブルースへ
Love Struck Babyは約二分二十四秒、Pride and Joyは四分未満である。最初に短く力をまとめ、第三曲のタイトル曲で五分を超える時間へ進む。長いソロで全部を説明してから始めるのではなく、まず三人が前へ動く方法を示す順番だ。遅いブルースに着くと、同じギターの曲げた音も別の規模で聞こえる。短い形と長い形が隣り合うため、個性が一種類の技巧へ狭まらない。
歌のない二曲が続く場所
Tell Meの後にはTestifyとRude Moodが並ぶ。声がなくなる曲を二つ続けても、同じ役割を複製するだけではない。ギターがリズムを刻む比重と、旋律を前へ出す比重が変わり、ベースとドラムがその動きを散らさず導く。ギタリスト一人の実演として見ると、主役が動ける密度を三人で作ることを見落とす。前に立つ楽器がはっきりしているほど、背後の持続する運動も曲の性格を左右する。
Lennyが残す別の表情
後半のDirty PoolとI’m Cryin’を通り、Lennyは声を使わずに終わりを担う。速く走る器楽曲とは違い、和音が広がる時間を急がずに使う。五分近い長さがあっても、最後に技巧の見せ場を最大化する形だけを選ばない。この曲があることで、前の強いアタックや細かい反復は唯一の基準ではなく、幅のある語彙の一部になる。十曲は入口の短い推進力と、出口の伸びる旋律の間に均衡を作る。最後の静かな表情から振り返ると、前半の勢いにも別の輪郭が生まれる。
曲からたどるアルバム
第二曲のシャッフルと終曲の器楽演奏を比べ、ギターの変化を受けるベースとドラムも追いたい。
Pride and Joy
第二曲は約三分四十一秒のスタジオ版。ギターが短いリズムの擦りから前へ出る旋律へ移っても、土台の弾みは続く。シャッフルという名称を知らなくても、等間隔に真っすぐ刻むものとは違う伸縮を感じられる。マレンのセット形式の録音説明を踏まえると、三人が慣れた動きをスタジオへ持ち込んだ価値が見える。ただし歌まで同時に完成したという意味ではない。完成形では声の周囲でギターが役割を変え、ベースとドラムが方向を保つ。次の遅いタイトル曲との対照によって、この短い推進力が入口の基準となる。有名な音色と同じくらい合奏の弾力が重要な曲である。
参考資料 · Mix: direct Mullen, Shannon and Clapp recording testimonyLenny
最後は約四分五十七秒のスタジオ器楽曲。広がる和音と柔らかく続く旋律が、Pride and Joyとは別の場をベースとドラムに与える。歌がない場所をすべて速い音で埋める必要はなく、音が残る時間そのものが形式に入る。TestifyやRude Moodを思い出すと、同じ器楽という分類にも異なる目的があることが分かる。終曲という位置も大切だ。前の強いアタックをさらに強めて閉じるのではなく、盤の最後の印象を変える。選んだのは後年の長いコンサート演奏ではなく、原アルバムの終わりを保つ録音である。広い時間を穏やかな旋律へ預ける判断が残る。
参考資料 · Qobuz: current Epic original programme and credits
次に聴く一枚
Otis RushのRight Place, Wrong Timeへ進み、曲げるギターの音とブルースの歌が出会う別の方法を比べたい。
Right Place, Wrong Time ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。