ヒップホップ / ハードコアとウータン · 1993
燃えよウータン
ウータン・クラン
Enter the Wu-Tang (36 Chambers) · Wu-Tang Clan
この一枚を聴く理由
MCの交代とRZAのサンプル構成が結びつき、個人の違いを消さずに集団のデビュー作を形にする。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
このデビュー作を、一人のラップに時々ゲストが加わる長い演奏のように聴くと、構造を捉えにくくなる。MCが交代する瞬間そのものが、曲の進行を作る出来事だからだ。ビートが続く間に異なる表現が現れれば、背景をすべて取り替えなくても音楽は動く。最初から九人の名前を暗記する必要はない。集団という言葉が全員を同じ表現にまとめるわけではない、と考えるだけでも具体的な入口になる。個々の違いと共通の場を同時に聴いてみたい。
一九九三年発表。RZA、GZA、オール・ダーティー・バスタード、メソッド・マン、レイクウォン、ゴーストフェイス・キラー、インスペクター・デック、Uゴッド、マスタ・キラが参加した。ここではexplicitの拡張配信版の最初の十二曲を選び、元のCD順序の本編として扱う。後ろの三つのボーナス版は含まない。公式LPでは《Protect Ya Neck》の位置が異なるため、同じ配列とはしない。ソウルのサンプルや武術映画の断片が、複数の個人が出会う共通の舞台を作っている。
集団の演奏は合唱だけではない
大勢が参加することは、全員で同じ箇所を歌うことと同義ではない。《Protect Ya Neck》では一人から次の人へ移る部分に注意してみよう。お気に入りをすぐ選ぶより、前の勢いが次の登場にどう引き渡されるかを見る方が、全体の形をつかみやすい。同じビートが続くからこそ違いがはっきりする場合もある。共通の舞台があることと、その使い方が同じであることは別なのだ。各人のソロ作品を知らなくても、この盤の中で集団の働きを考えられる。
映画の音を配置として聴く
武術映画から取り出した音は、名前や図像を説明するだけの飾りではない。ラップの入口を準備したり、曲の周りの雰囲気を結びつけたりする。それらを外して歌の部分だけを残したら、同じ経験になるのか考えてみたい。出典をすべて知ることは鑑賞の前提ではなく、まずこのアルバムでどこに置かれるかを聴けばよい。気になる断片ができたときに元の作品へ進む道もある。素材の出身地と、ここで担う役割は両方が重要だ。
有名な一曲から先へ進む
《C.R.E.A.M.》は入口になるが、その一曲の構成で全収録曲を予想することは難しい。《Method Man》のように一人の名前を前面に出す曲もあり、集団の交代が特に目立つ曲もある。同じ型だけを続けないことが、十二曲を通して聴く理由になる。最後には《Wu-Tang: 7th Chamber》の第二部が置かれ、前に出会った題名が戻ってくる。拡張版の画面でその後も曲が続いていても、今回選ぶ本編の終点はここだと分けて考えよう。
曲からたどるアルバム
《Protect Ya Neck》のMCの交代と《C.R.E.A.M.》の構成を比べ、その後で十二曲のCD順序へ戻る。
Protect Ya Neck
ラッパーの交代そのものが曲を進めることを聴く入口になる。最初は一人の特徴を覚える前に次の人が出てきて、複雑に感じるかもしれない。名前を当てる試験にせず、まず交代したという出来事を捉えればよい。続くビートと変わる表現は、異なる種類の動きを同時に作る。誰かを勝者に選ばなくても、各部分がつながる全体を楽しめる。今回はCD本編の第十曲を選び、後から付くShao Lin Versionとは区別する。公式LPとも配置が違うため、同じ曲順だとは考えない。集団の紹介として有名な曲を、実際のこの位置へ戻して聴くことも新たな手掛かりになる。
参考資料 · Sony Music: original members and 1993 debutC.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me)
有名な題名を入口にしても、ウータンの全曲が同じ仕組みだと決める必要はない。繰り返す伴奏が曲をどう支えるかを聴き、ラップと戻ってくる部分の関係を考えてみよう。音楽の構造と細かな言葉の内容は、別の回に確かめてもよい。一度ですべてを終える必要はないのだ。《Protect Ya Neck》と並べると、同じ集団が異なる曲の枠組みを使うことに気づける。選んだのは伴奏のある第八曲で、拡張版の最後のアカペラとは別のもの。声だけから得られる情報と、元の編曲が作る経験は違う。今回の比較では、この本編の演奏を基準にしておきたい。
参考資料 · Sony Music: original members and 1993 debut
次に聴く一枚
トゥパックの《All Eyez on Me》へ進み、集団内でメンバーが順に登場する形と、ソロ盤にゲストが入る形を比べる。
All Eyez on Me ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Sony Music: original members and 1993 debut · www.sonymusic.ca
- Sony Music store: twelve-title vinyl programme with different sequencing · shop.sonymusic.ca
- Library of Congress guest essay: production, original members and film samples · lcweb2.loc.gov
- Apple Music: explicit Expanded Edition, original CD sequence followed by three bonuses · music.apple.com